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「遺伝子検査」は手の届く時代へ

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脊髄小脳変性症

概説

 神経系の難病の1つでに指定されており、国による調査研究が進められています。や小脳が障害され、が出現します。わが国における有病率は10万人あたり10人程度です。遺伝性と非遺伝性があり、40%が遺伝性と考えられています。障害される部位によって、オリーブ小(きょうしょう)脳症(OPCA)、皮質性小脳症、マシャド・ジョセフ病(MJD)、歯状核赤核・淡蒼(たんそう)球ルイ体症(DRPLA)、フリードライヒ型失調症などに分類されます。遺伝性のものについては、病気の原因となる異常が次々と明らかにされています。この異常に基づいて、小脳変性症(SCA)1、SCA2、SCA3(MJD)、SCA4、SCA5、SCA6、SCA7、DRPLAに分ける分類もあります。

症状

・オリーブ小脳症(OPCA)
 主として40歳代に発症します。遺伝性と非遺伝性があり、遺伝性のほうが発症年齢は若い傾向があります。中心の症状は失調症で、最初は下肢に症状が現れます。特徴のある歩行障害で、両足を大きく広げてバランスをとるような歩行となります。進行するとあたかも酔っ払いが歩いている(千鳥足歩行と呼ぶ)ようにみえます。下肢についで上肢の運動がぎこちなくなり、言語障害も出現してきます。動作緩慢や筋固縮などパーキンソン病様の症状(これをパーキンソニズムと呼ぶ)が加わることもあり、この病気がの多系統の変性症であることを示しています。(すいたいろ)障害、網膜症(痴呆)、眼球運動麻痺など多彩な症状が認められます。病名のとおり小脳に加えて(きょう)のが特徴的です。

・皮質性小脳
 遺伝性の場合は30歳代で発症し、非遺伝性では平均57歳と発症年齢が遅いのが特徴です。症状はゆっくりと現れ、進行も極めてゆっくりです。失調性歩行、(たいかん)不安定性、上肢や頭部のふるえ、ゆっくりとした不明瞭な話し方が特徴的です。OPCAでよくみられるパーキンソニズムは生じません。病理的にははなく、が小脳系に限局している点でOPCAと異なります。これはアルコール性小脳変性症とよく似ています。

・マシャド・ジョセフ病(MJD)
 マシャド・ジョセフ(Machado-Joseph)というのは、最初にこの病気について報告された患者名に由来しています。ポルトガル領アゾレス諸島出身者にみられるまれな病気だと考えられていました。しかし原因が発見され、わが国でも頻度の高い疾患であることが判明しています。の形をとります。初発年齢は様々ですが、が多く、失調性の歩行障害が最初の症状です。歩行障害は進行性に悪化し、や眼球運動障害が出現してきます。大きく見開いた目が特徴的で、「びっくり眼」と形容されます。だんだんと顔の表情が乏しくなり、顔面や舌に筋肉のが認められるようになります。と呼ばれる特有の筋緊張異常、四肢(手足)の筋固縮などパーキンソニズム、の亢進(こうしん)、も出現します。また障害も生じ、極めて多系統の障害をきたします。

・歯状核赤核・淡蒼球ルイ体症(DRPLA)
 から中年以降の発症まであり、初発年齢は様々です。小脳性失調に加えて、舞踏(ぶとう)病様(不規則で無目的なあたかも踊っているような全身の)やアテトーゼ(手や足のゆっくりとした、くねるような)を伴ってくるのが特徴です。例では、てんかん発作、ミオクローヌス(四肢の一部の筋に短時間のすばやい収縮が不随意に生じる)や症(痴呆)が出現することがあります。を示します。

・フリードライヒ型失調症
 SCAの中の典型的な型です。大半が10歳までに歩行障害で発症します。発症後5年以内に歩けなくなることが多く、下肢の症状に次いで数カ月あるいは数年後には手の運動もぎこちなくなり、も出現することがあります。この疾患ではの後索(関節の感覚などのをいう)とこの後索とを結ぶ小脳路が主に障害されます。このため下肢に強い障害が生じ、目を閉じると体のバランスが悪くなって動揺が強くなります。この現象をロンベルグ徴候と呼び、フリードライヒ型失調症に特徴的です。足の奇形はこの疾患に特異的で、足底がくぼみ足の甲が高くなる凹足(おうそく)や母趾(ぼし)の先が屈曲したハンマー状の変形を生じます。遺伝形式は、常染色体劣性です。

診断

 典型的なものについては、症状のみで診断は可能です。さらに家系調査や脳の所見が診断上重要となります。しかし症状や検査だけでは診断を確定できないこともあります。各疾患により異なる異常が明らかになっており、例えばMJDの場合、第14番染色体上でCAGという3塩基の繰り返しが長くなっているのが特徴的です。この変化は血液中のDNAを調べれば容易に確認できます。これが診断で、診断を確定することができます。ただ現時点ではSCAに対する真に有効な治療法がなく、異常が明らかとはなっても治療はまだできないので、ここに倫理的な問題が発生します。しかし診断が確立すれば治療の方向付けができて、リハビリテーションプログラムの作成も可能になるなどのメリットもあります。十分な説明を受けて、納得がいけば診断を受けて下さい。これを拒否する権利が患者側にあることは当然です。

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(執筆者:碁盤芳久

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出典:「家庭のドクター 標準治療 最新版」(発行:日本医療企画 - 総監修:寺下医学事務所)/ 執筆者一覧


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