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室内にいても熱中症になることがあります

暑い室内にいると、つい冷たい飲み物がほしくなってきます。だからといってガブガブ飲んでいると、胃液が薄まったり胃腸が冷えたりして、消化の働きが落ちて食欲不振や下痢などを起こします。

逆に、水分のとり方が足りないのも問題です。私たちの体の大半は水分(体液)でできています。暑い室内などで大量に汗をかくと体液や塩分が少なくなり、脱水状態となります。体液は、栄養素や酸素の運搬、老廃物の排出、体温調節などさまざまな機能に関係しています。脱水状態になるとこうした働きが低下し、めまいや立ちくらみ、頭痛などいろいろな症状が現れてきます。ひどい場合には、けいれんが起きたり、意識がなくなることもあります。高温の環境の下で起こるこれらの症状を総称して「熱中症」といいます。

熱中症は、炎天下でスポーツをしたり作業をしているときに起こる病気という印象が強いですが、高い室温の中にいた人が熱中症になり、救急車で搬送されるケースが毎年多く発生しています。節電が推進されるこの夏は、特に多くなる可能性が高いので注意が必要です。

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夏かぜなどの感染症や皮膚のトラブルに注意

口の中(口腔内)が渇くと感染症のリスクを高めます。口腔粘膜や唾液にはIgAと呼ばれる抗体が含まれ、細菌やウイルスをやっつけてくれます。口腔内が乾き、IgA抗体が少なくなると細菌やウイルスは喉を素通りして体内に入りやすくなってしまい、夏かぜ肺炎気管支炎などにかかりやすくなります。

暑い夏は皮膚のトラブルにも注意が必要です。汗を多くかいてそのままにしておくと、毛穴にアカやホコリ、皮脂などがつまって吹き出物や肌荒れの原因になります。特に子どもは、毛穴も小さいのでアカなどがたまってあせもができやすくなるので注意しましょう。水虫菌が増殖しやすくなるのも高温多湿のこの時期です。いつも以上に、皮膚を清潔にすることを心がけましょう。

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口の渇きに関係なく、定期的に水分の補給を

脱水症や熱中症を防ぐには、水分の補給を心がけることがなにより大切です。静かに過ごしているときは麦茶や普通の水を、大量に汗をかいているときはスポーツドリンクや経口補水液(ORS)*、0.1%程度の薄い食塩水などを、喉が渇いている・いないにかかわらず、定期的に飲むようにしましょう。普段でも睡眠中にコップ1杯程度(約180cc)の汗をかくといわれます。室温が高いともっと増えるので、就寝前と起床時にも十分な水分をとるようにしましょう。

なお、ビールを何杯も飲んでいるから水分補給は十分と安心してもダメ。アルコールやカフェインを含む飲み物には利尿作用があるので、実際には水分補給にはなっていません。

夏対策メモ:水分補給の基本スケジュール

私たちはじっとしていても呼吸や皮膚から1日に約1リットルの水分を失っています(不感蒸泄)。この分は飲む水で補う必要があります。1回150cc程度の水分を1日7〜8回程度とるようにしましょう。神津先生のおススメ飲料は麦茶。アルキルピラジン類という血液をサラサラにする成分が入っていて、しかもカフェインはゼロです。

<水分補給のスケジュール例>
  • ・朝起きたとき
  • ・午前10時
  • ・昼食後
  • ・午後3時
  • ・夕食後
  • ・入浴前・後
  • ・寝る前

* 経口補水液(ORS):水分と電解質をすばやく補給できるようにナトリウムとブドウ糖の濃度を調整した飲料で、「飲む点滴」と呼ばれています。ドラッグストアなどで売られています。

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汗を吸収する寝具などで快眠の工夫を

十分に睡眠をとることもポイントのひとつ。それには、寝る前の半身浴がおススメ! 入浴後の汗はやがて体温を下げてくれる役目を果たしてくれます。37〜39℃のぬるめの湯に15〜20分程度つかるのが目安です。

また、暑い夏だからこそ、寝具などにも配慮しましょう。麻や綿のシーツ、タオルケットなどは吸湿性や通気性に優れています。パジャマなどは、クレープ地やサッカー地など、皮膚に密着しない、さらりとした素材のものを選ぶとよいでしょう。

もし、体がほてって寝つけないようなときには、保冷剤などで後頭部を冷やすと脳がリラックスして眠りやすくなります。籐枕(とうまくら)や陶枕(とうちん)でも、頭部を冷やせます。

クーラーの半分の消費電力ですむと大人気の扇風機。しかし、同じ速さの風に長時間、直接あたると、逆に汗が通常以上に蒸発し、体がだるくなったり、冷えたりします。寝るときにはタイマーをセットし、風が体に直接あたらないように首振り設定にしましょう。

夏対策メモ:昼寝のススメ

睡眠不足は昼寝で解消してはいかが? ただし、20分以上眠ると深い睡眠に入ってしまい、目覚めたあともだるさが残り、ボーっとして仕事の能率も低下します。昼寝は15〜20分程度が効果的。横になって眠らないことも、眠りを浅い段階で止めるコツです。

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ビタミンB1やビタミンC摂取で夏バテ知らずに

食への注意も必要です。口あたりが良いからと、そうめんや冷しそばなどばかり食べていると、栄養が炭水化物に偏ります。栄養バランスの良い食事が基本ですが、特に夏に積極的にとりたいのがビタミンB1です。免疫力を強化するビタミンCも意識してとるとよいでしょう。ビタミンB1は豚肉やうなぎ、枝豆、玄米などに、ビタミンCは赤ピーマンやモロヘイヤ、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、オレンジなどに多く含まれます。

最近の野菜は、以前に比べるとビタミンなどの含有量が少なくなっているといわれます。ビタミン不足が気になるときは、マルチビタミンなどのサプリメントで補うのもよいでしょう。

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生活の中に「涼」の知恵を上手に取り入れる

夏を涼しく過ごすために、先人たちの知恵も大いに参考にしてみてはどうでしょう? たとえばうち水。朝夕の涼しいときに庭やベランダに水をまくと、外気温を下げることができます。部屋の外にゴーヤやキューリなどの植物を植えてグリーンカーテンをつくったり、すだれを利用したりして日陰をつくるのも良い方法です。

涼しさを感覚で感じてみるのも手。室内に籐のむしろやござ、い草のラグマットなどを敷けば、冷たい感触を味わえます。風鈴を軒につるして、音で涼しさを感じるのも楽しいものです。

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ドクターズアドバイス

神津内科クリニック院長・神津仁
汗を大量にかく体質の人、心臓病や慢性腎臓などで利尿剤を使っている人はナトリウムの排泄が多くなるので脱水症が起きやすくなります。こういう方は特に意識してスポーツ飲料や経口補水液を十分に摂取しましょう。また、膀胱が尿でいっぱいになる前に膀胱が勝手に収縮してしまい尿がもれる過活動膀胱という、女性に多い病気があります。こういう人はトイレに行く回数が増えるからと水分摂取を控えがちです。過活動膀胱の治療をきちんと受けることが大切です。

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脱水症・熱中症チェックと対処法

  • □1)足や腕、腹部などの筋肉が強度の痛みを伴ってけいれんする
  • □2)めまいや立ちくらみがする
  • □3)脈が速く、弱くなる
  • □4)拭いても拭いても汗が出てくる
  • □5)顔面蒼白である
<1)〜5)に当てはまるものが1つでもある場合:1度=軽症>
涼しいところへ寝かせ、衣服をゆるめるか、あるいは脱がせてください。水分を与え、風を送るなどして体を冷やしてください。
  • □6)頭がガンガンする
  • □7)からだがぐったりして、だるい
  • □8)吐き気や嘔吐がある
  • □9)喉が異常に渇く
<6)〜9)に当てはまるものが1つでもある場合:2度=中等症>
涼しいところへ寝かせ、衣服をゆるめるか、あるいは脱がせてください。そして、水分を与え、風を送るなどして体を冷やし、あわせて、わきの下や太ももの付け根を氷などで冷やしてください。回復しても念のため専門家による診察を受けましょう。症状が改善しない場合は、ただちに救急車を呼んでください。
  • □10)ふらふらする
  • □11)意識がもうろうとする
  • □12)意識を失って倒れる
  • □13)体に触ると熱い
<10)〜13)に当てはまるものが1つでもある場合:3度=重症>
危険な状態です。ただちに救急車を呼んでください。救急車が来るまでは、涼しいところに寝かせ、水分を与え、体を冷やしてください。

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監修:神津内科クリニック院長・神津仁(こうづ ひとし)
医学博士。1977年日本大学医学部卒業。同大学医学部第一内科、神経学教室を経て米国ハーネマン大学、ルイジアナ州立大学留学。社団法人佐々木病院内科部長を経て、97年東京・世田谷に神津内科クリニックを開業。日本神経学会専門医、日本内科学会認定内科医など。主な著書に『神経の危機管理』(桐原出版)などがある。

神津仁

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