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被災者がかかりやすい病気(内科系)

東日本大震災のような災害時、被災地で発症頻度が高く、かかりやすい病気に対して、その予防と対策をやさしく、わかりやすく説明します。

かぜの予防には「水分摂取」

もっとも頻度の高いものはかぜなどの、のどを中心とした感染性疾患でしょう。これは災害時に限ったことではありませんが、われわれ医師も毎日かぜ・インフルエンザの多数の患者さんと対面していますので、いちいちかぜをひいていては仕事になりませんし、その予防が大切であることは間違いありません。

最も大切な予防法は手洗い、マスク装着などよりも「水分摂取」です。事実、私はマスクをして診療したことがありませんが、滅多にかぜなどをひきません。マスクは自分からまわりに広めることがないように配慮するために使用するものと考えています。私は一人のかぜの患者さんを診療すると、必ずその直後に一口水またはお茶を飲みます。こうすることにより、のどについて繁殖するウイルスをわざと飲み込んで感染予防をするという方法をとっています。のどで繁殖するウイルスは、のどから除去すれば感染しません。実はこれが一番効果的です。ほんの一口でよいので、15分〜20分おきにでも水分を口に含んで飲み込んでください。

それでもかぜをひいてしまったときには早めに薬を飲んで休むようにしましょう。かかってしまった場合にはそれしか方法がありません。高熱がある場合にはインフルエンザの可能性があり、薬も違いますので、医療機関を受診して簡易検査を受けるようにしましょう。予防法はインフルエンザも一緒です。

咳や熱が出始めたら気管支炎・気管支肺炎の併発が考えられますので、医療機関を受診するほうがよろしいでしょう。

手洗いはあくまでも基本の予防行動となります。睡眠・休養も基本の予防行動となります。

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エコノミークラス症候群には水分摂取と運動

エコノミークラス症候群とは、狭い空間でじっとしていることにより血が固まりやすい状態になり、発症するものです。医学的には「肺塞栓症」という血液のかたまりが肺につまってしまう病気のことを指します。血のかたまりが通常血流の悪くなった下肢などの下半身にでき、それが静脈血流にのって肺にひっかかってしまって、肺の機能が低下するというものです。肺塞栓症は症状としては胸痛・呼吸困難・動悸などで、通常は急激に発症します(慢性型もあります)。重症時には致死的となる病気です。

自動車内などのような(まるで旅客機のエコノミークラスのように)狭いところで、長時間同じ姿勢、かつ水分摂取も少なくしていると発症しやすいものです。予防はやはり、水分摂取と適度な運動です。少し歩くだけでも違います。

ここでもこまめな水分摂取が重要であるということがわかります。

発症してしまったら集中治療室での治療が必要であることも多く、比較的大きな医療機関の受診と入院加療が必要です。

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ウイルス性の下痢は医師の診断を

冬から春にかけては、食中毒性(細菌性)よりもウイルス性の流行があります。ウイルス性は発熱・おう吐・腹痛・下痢があり、医療機関で治療を受けないと改善しにくいときがあります。

ウイルス性の場合はなかなか予防は困難で、トイレの消毒をこまめにすることと、手洗いぐらいしかありません。これは水分摂取をして飲み込んでも、おなかでウイルスが繁殖して発症してしまうので、効果的とは言えません。なるべく疲れないようにするしか手立てがなく、発症したら薬を使用するというのがもっともよいやり方です。

細菌性の食中毒は気温の高い時期に起きやすいものですが、最近は食品の安全性は高くなっており、集団で起きるということは比較的少なくなっています。同じものを食べたまわりの人がおう吐・下痢・発熱を起こしたら、細菌性の可能性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。(食中毒に関しては、「被災者がかかりやすい病気(感染症)」のページも参照してください)

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ストレス性胃炎は早めの治療が一番

被災地ではストレスが当然のことながらあり、上腹部のいわゆる「胃の痛み」を中心に症状が出ます。ストレス性胃炎は間欠的(症状が出たり消えたり)な痛みであり、昔でいう「胃けいれん」に近いものです。軽い下痢を伴うこともあります。

胃の調子の悪さを感じたら、やはり早めに医療機関で投薬を受けるのがよろしいでしょう。なんといっても早めの治療が悪化をさせないもっともよい方法です。

現在では副作用が少ない、よい胃薬が多数売り出されていますので、早めの服用をおすすめいたします。

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意外に多い口内炎には野菜ジュース

被災地では食事のバランスが崩れ、ビタミンバランスを崩しがちです。口内炎は命を落とすような病気ではありませんが、発症頻度は高く、ビタミンの補給である程度予防が可能なものです。なかなかビタミン剤の確保は避難中ではできないかもしれません。野菜ジュースでも相当なビタミン類の確保ができます。最近の野菜ジュースは昔よりもおいしいものが多いので、利用するのもよいと思います。

災害時に病気にかからないようにする予防と対策
こまめに「水分摂取」を―これがとても重要!
手洗いは可能ならば行うことが基本
なるべくバランスのよい食事を心がける
なるべく睡眠をとる
可能ならばビタミン剤を利用する
自分なりのストレス発散法を見つける
何事も楽しみをもって行うように心がける(これもストレスをためない方法)

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木村メディカルクリニック 院長 木村裕之(きむらひろゆき)
医学博士。1988年、慶応義塾大学医学部卒業後、慶応義塾大学病院内科勤務、同病院救急部などを経て、2004年、喜多見木村メディカルクリニックを開院。翌2005年、学芸大学に木村メディカルクリニックを移転開院し現在に至る。専門は、内科全般、消化器内科学、救急医学で、得意分野は胃カメラ、内視鏡手術。日本救急医学会専門医、日本内科学会認定専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医など。

西多昌規

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